私たちスタッフも頑張っています!
●強い帰宅願望・収集癖・徘徊
徘徊・認知症・収集癖が出現し、家庭介護は限界に。デイでも「会社へ帰る」と話され、エレベーターが開くとすぐに乗り込もうとされました。入浴やレクにも強い拒否がありました。
デイを「会社」と考えよう スタッフも社員になろう
会話の中から、まだ会社勤務中と思っておられることに気づき、それならば私たちも会社の人間として接しよう、と考えました。役職名で呼びかけると入浴もレクも成功。お仕事の話は真剣に傾聴しました。収集癖も、実は、几帳面ゆえの片付けであることがわかり、「私たちの仕事です」との声をかけで解決しました。
行って来るよと出勤のご挨拶
帰宅願望も無くなり、他の方ともお話され、レクへも楽しまれました。朝の送迎時もご家族に、現役のときのように「行ってくるよ」と挨拶をされるようになりました。
●「不穏ゼロの成功」認知症でなかった!
現役時代、几帳面な方でした。寝たきりとなられた後は、周囲が怖がられる、叫び声を上げ、デイでも別室対応が必要でした。認知症と言われていましたが、実は発話ができないだけでだということを発見。
きっかけは時代劇の放送休止
TVの時代劇が、特別番組のために放送中止に。すると大声を上げ始めました。困ったスタッフが新聞のテレビ欄を見せると「うん、うん」と納得されたのです。認知症は無かったのです。午後になると不安になられていたので、試しに午後のレクの予定表を作ってお見せしました。時計と予定表を見合わせてにっこりうなずかれ、不穏も消失されました。
デイの人気者
大変ユニークな方で、スタッフが口腔ケアをしていると、「あんたはどうだ?」と逆にチェックしてくださいます。穏やかに楽しまれるようになられたのも、人格をしっかり受け止め尊重したからではないかと思います。お友達からも「お元気で楽しそうで本当によかったね」とお声をかけていただきました。
●「口笛」がすべてのはじまりでした
当初Aさんは大声で歌ったり不安定な状態でした。Aさんの口笛が上手であることを知ったスタッフは、大声に合わせて口笛を吹いてみました。すると、Aさんも歌うのを止めて一緒に口笛を吹いてくれました。それから大声で歌う度に口笛を吹くとAさんも大声をやめて一緒に口笛を吹くようになりました。今まで迷惑そうにしていた他利用者の方も「口笛が上手だね」と好意的に見てくださるようになりました。
排尿のサイン
失禁対策で時刻を記録し排尿間隔を調べているうちに、ベランダに出ようとするときには、排尿の欲求があることを発見。注意深い観察により失禁を減らすことに成功しました。
お気に入りのスカーフで傷のカバー
自宅で熱いお茶をこぼし、胸の火傷をガーゼ保護しましたが、しきりと外そうとされます。スタッフの機転で、お気に入りのスカーフで保護してみました。するとスカーフを外されなくなり、火傷は、きれいに完治しました。
●見えない・聴こえないー指折り数えて克服
視力、聴力とも障害があり痴呆も進行しており、慣れない場所での不安感から、他利用者の方が驚くほど大きな声で騒ぎ、帰宅願望を強く訴えられました。話しても聞こえないために、不穏状態が続きました。
「指折り」で時間を伝えるコミュニケーション
マンツーマンで接することで、少しずつ発見がありました。例えば、時間の観念があり、現在の時刻と帰宅時間を彼女の指を折って伝えると、家に帰ることが出来ると解り安心されること。畳の上で過ごすと精神的に安定されること。
このような発見と対策により、不穏状態は解消され、大声を出すこともなくなりました。
コミュニケーションがとれるように
次第にコミュニケーションもとれるようになりました。例えば、食事の際「これ、柔らかいな。あんたがつくったんか?料理上手だな。家のは硬いでいかんわ。」と話をしたり、一方的な会話なのですが、こちらがオーバーアクションで頷いたり首を振ったりすると、かすかに見えるようで、とても満足げな笑顔で笑ってくださり、そのユニークな話し振りで私たちも楽しませてくださいました。